「投資信託」「ETF」どちらも同じ投資信託ですが、「ETF」は知名度も低く、商品数も少なく、運用総額も小さめです。
しかし、プロの投資家たちは、あえてETFを利用しています。
投資信託とETFは何が違うのでしょうか?
おおまかな違いは、
・どこで売買するのか?
・いつ売買するのか?
の2点です。
本記事では、投資信託とETFの違いをさらに詳しく、また、どちらを購入したらよいのかを、わかりやすく解説します。
記事を読み終わる頃には、投資信託とETFで迷う事はなくなっていると思いますよ!
では、始めていきましょう。
そもそも投資信託・ETFとはなにか

投資信託とETFの違いを知るためにも、まずは、投資信託とETFがどんな商品かを解説します。
投資信託とは
投資信託は、複数の投資家が出したお金をとりまとめ、専門の運用会社が株式や債券などに分散投資する金融商品です。
運用の成果は、投資額に応じて投資家に分配される仕組みになっています。
【人気の高い投資信託】
・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
・eMAXIS Slim米国株式(S&P500)など
ETFとは
ETFは、上場投資信託の略称です。
投資信託の一種ですが、ETFは証券取引所に上場している投資信託のことを指します。
厳しい審査をパスして上場されたETFは、一般的な投資信託よりも情報開示の基準が厳格化されているため、毎日、組入銘柄が公開されています。(一般的な投資信託の情報開示は、月1回程度)
【人気の高いETF】
・バンガード S&P 500 ETF(米国)
・NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(国内)など
投資信託とETF(上場投資信託)の代表的な違い5点
| 投資信託 | ETF | ||
|---|---|---|---|
| 最低購入金額 | 100円~(販売会社により異なる) | 数千円~ | |
| 買い方の仕組み | 証券会社、銀行などから購入 | 証券会社 | |
| 売買価格 | 1日1回算出される基準価格 | リアルタイムで変動する市場価格 | |
| 手数料 | 購入時手数料 | かからないもの(ノーロード)が多い | 原則、売買委託手数料がかかる かからない証券会社もある |
| 運用中手数料 (信託報酬) | ETFより高め | 投資信託より低め | |
| 売却時手数料 | 信託財産留保があるが、主要な商品 ではかからない事が多い | 売買手数料がかかる | |
| 分配金 | 再投資型・受取型を選べる | 受取型のみ | |
投資信託とETFには、いろいろな違いがありますが、その中でも特に重要な5つのポイントに絞って解説します。
1.最低購入金額・購入単位の違い
投資信託は、最低購入金額は100円〜(販売会社による)で、購入したい金額を指定して購入できます。
一方、ETFは口数で注文し、1口あたり数千円程度から購入できる商品が一般的です。
2.買い方の違い
投資信託とETFは、どちらも運用会社が商品を作っているのですが、購入できる場所が違います。
ETFは、証券会社のシステムを経由して証券取引所で直接売買できます。販売会社を経由して買わなくてもよいのが特徴です。
3.売買価格が決まるタイミングの違い
投資信託とETFでは、売買時の価格の決まり方が違います。
投資信託では、売買時の価格を「基準価額」といい、商品の評価額をもとに1日1回算出されます。
基準価額は市場が閉まった後に決まるため、注文する時点では、実際にいくらで売買されるのかはわかりません。
一方、ETFは、「市場価格」で取引ができます。
株式と同じように、市場の取引時間内は価格がリアルタイムで動いており、自分が「買いたい・売りたい」と思ったタイミングで売買できます。
4.手数料の違い
投資信託・ETFのどちらにも、購入時・運用中・売却時の3つの手数料がかかります。
【購入時にかかる費用】
投資信託の「購入時手数料」は商品によって違います。最近は、購入時手数料が不要なものも多くあります(ノーロード)。
なお、新NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託はノーロードのものだけが対象になっています。
一方、ETFでは証券会社が定める「売買委託手数料」がかかります。
【運用中にかかる費用】
投資信託・ETF、どちらにも「信託報酬」と呼ばれる運用管理手数料がかかり、保有期間中ずっと支払わなければなりません。
信託報酬とは、投資信託を運営・管理してもらう手数料で、商品を保有している間、毎日口座から引かれます。
信託報酬は、投資信託やETFの銘柄ごとに違いますが、一般的にETFより投資信託の方が信託報酬が高いのが特徴です。
投資信託は、証券会社や銀行などの販売会社が窓口になるため、販売会社への手数料費用などが上乗せされています。
一方、ETFは投資家が市場で直接売買するため、販売会社を介さない分、信託報酬は安くなります。
【売却時にかかる費用】
投資信託によっては、売却時に「信託財産留保額」と呼ばれる費用が発生することがあります。
ただ、S&P500やオルカンのような主要な商品は、売却時に費用がかからないケースが多い為、あまり気にしなくても大丈夫です。
ETFは、購入時と同様に売買委託手数料が必要なことが多く、取引が成立したときの金額(約定金額)をもとに、金融機関の定める取引手数料を支払います。
5.分配金の受け取り方
分配金とは、運用によって得られた利益の一部を投資家に分配するお金のことです。分配金が支払われるタイミングは、商品によって、1年ごと、半年ごとなどと違います。
分配金の受け取り方が投資信託・ETFでは違います。
投資信託の分配金は、「受取型」「再投資型」が選べます。
・「受取型」は分配金を現金として口座で受け取る。
・「再投資型」は分配金を現金としては受け取らず、同じ投資信託を自動で追加購入する。
ETFは「受取型」のみとなります。分配金が毎回支払われてしまうため、分配金を再投資したい場合は、同じ銘柄を毎回、新たに自分で買い付ける必要があります。
分配金を上乗せして投資を続けると、複利の効果を一層得られるため、分配金の扱いは資産形成では効率を左右する大切なポイントとなります。
投資信託とETFのメリット・デメリット

投資信託、ETFはどちらも複数の銘柄にまとめて分散投資でき、自分で細かく投資先を選ぶ必要もなく、投資にかかる手間を大幅に減らせる商品です。
一方で、以下のようにそれぞれに違った特徴があり、メリット・デメリットがあります。
| 投資信託 | ETF | |
| メリット | ・少額から投資できる ・細かい売買タイミングを気にしなくていい ・投資商品が多く、またNISA対象商品も豊富 ・自動で積み立て投資・分配金再投資が可能 | ・リアルタイムで売買ができる ・希望する価格での指値注文取引が可能 ・信託報酬額が投資信託に比べて低い ・都度、分配金を受け取れる |
| デメリット | ・値段を指定して取引はできない ・手数料が高い傾向にある | ・分配金を自動で再投資する仕組みがない ・自動積み立て設定ができる証券会社は少ない ・商品数が少ない |
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
投資信託のメリット4点
1.少額から投資することができる
投資信託は最低購入金額が低く設定されていて、少額からでも投資ができます。金融機関によって異なりますが、中には100円から購入できる投資信託もあります。
試しに投資してみたいけど、損失を出すのが怖い方にも始めやすいのが投資信託です。
2.細かい売買タイミングを気にしなくていい
投資信託は、売買価格が1日1回決まる仕組みです。
日中のどの時間に注文しても同じ基準で価格が決まるため、株のように値動きを見ながら売買を判断する必要がありません。
自分の都合のよいタイミングで取引しやすいのが特徴です。
3.商品数が多く、またNISA対象商品も豊富にそろっている
投資信託は、次々と新商品が出るため、種類も豊富で目的に合わせた商品選びができます。
NISAのつみたて投資枠では、投資信託は約300本ありますが、ETFは9本のみ※となっています。
※参照:金融庁「つみたて投資枠対象商品届出一覧(運用会社別)」
4.自動で、積み立て投資・分配金の再投資ができる
投資信託は、積み立て投資ができる金融機関が多く、購入したときに商品と金額の注文サイクルを一度設定してしまえば、後は都度、自動で注文されます。
また、支払われる分配金を自動で再投資できる仕組みがあり、自分で買い直さなくても、分配金が都度、自動で元本に上乗せされます。
元本と分配金を合わせた金額で運用ができるので、手間をかけずに複利の効果を生かして資産形成をしやすいのが投資信託の特徴です。
投資信託のデメリット2点
1.注文時には、売買単価がわからない
投資信託は、市場が閉じた後で価格が決まるため、価格(基準価額)は注文した時点では確定しておらず、実際にいくらで売り買いできたのか、すぐにはわかりません。
そのため、市場の値動きによっては、実際の売買価格が想定とはかけ離れてしまうリスクがあります。
2.手数料が高い
通常の投資信託は運用会社・販売会社・信託銀行と3つ手数料を支払うため、取引所で直接取引されるETFに比べて手数料が高くなる傾向があります。
ただし、最近の投資信託はコスト競争が激しく、ETFとさほど変わらない手数料の投資信託も登場していますので、あまり意識しなくてもよいかもしれません。
ETFのメリット4点
1.リアルタイムで売買ができる
ETFは株式と同じように、リアルタイムの値動きで取引きができます。価格が上下したタイミングで即売買できるので、当日中に利益を確定できます。
2.指値注文によって、希望する価格での取引ができる
指値注文とは、希望する売買価格を指定して発注する方法です。
買う場合は「〇〇円以下」、売る場合は「〇〇円以上」と条件を決めて注文し、希望価格に達したときに自動的に売買が成立するため、想定外の価格での取引を避けられます。
3.信託報酬(運用管理費用)が投資信託と比べて低い
ETFは、一般的に投資信託よりも信託報酬は低めに設定されています。
信託報酬は保有している間、毎日かかり続けるため、長期投資を前提にする場合には信託報酬が低いことは大きなメリットです。
4.分配金を受け取れる
ETFは分配金が自動で再投資されず、決算日に現金で支払われます。
分配金は改めて投資する、または、生活費の足しやおこづかいとして定期的な現金収入とするなど、使い方を選べます。
ETFのデメリット3点
1.分配金を自動で再投資する仕組みがない
ETFの分配金は、自動的に現金で口座に支払われる仕組みになっています。そのため、利息に利息がつく複利効果を期待できません。
複利を狙いたい場合は、受け取った分配金で同じ銘柄を買い足す作業が必要になります。
2.自動積み立て設定ができる証券会社は少ない
ETFはリアルタイムで価格が動き、売買は口数単価での注文のため、「毎月同じ額での注文」が自動化しにくく、積立投資に対応している証券会社はあまり多くありません。
3.商品数が限られている
ETFは、商品数が多くなく、投資信託は数千あるのに対し、ETFは数百しかありません。
NISAのつみたて投資枠ではETFはほとんど対象外となっており、iDeCoでもETFは対象商品に含まれていません。
さらに、投資信託に比べるとアクティブファンドの数も少なく、インデックス投資中心となっています。
投資信託とETF、どちらにしたらよい?両方保有がいいの?

投資信託・ETFのメリット・デメリットを生かして、資産を増やすためには、どちらを保有するのがよいでしょうか。
ここからは、目的や運用方法に合った使い分けをご紹介します。
投資信託がおすすめな方
投資初心者の方
投資初心者の方には、投資信託がおすすめです。
投資先を細かく選別する必要もなく、また売買タイミングをあまり気にしなくても運用を続けやすいからです。
少額で投資したい方
金融機関によっては、100円から購入できたり、日々の買い物で溜まったポイントで商品を購入し、運用できます。
投資信託は少額でも購入できるため、さまざまな商品に分散投資できるメリットがあります。
よりたくさんの商品から選びたい方
投資信託の商品数は数千本あり、商品ごとに特徴があり、投資家の要望に合った商品を探せます。
安定性重視、積極的な利益重視、また、投資したい業界や国などをパッケージした商品など、数多くの選択肢中からご自身の希望に合った商品を探せます。
NISAやiDeCoで運用したい方
投資信託はNISAやiDeCoなどで運用できる商品がたくさんあります。税優遇制度を活用しながらコツコツと資産形成しやすい環境が整っています。
自動で積立投資・分配金を再投資したい方
投資信託は、自動で積み立て投資・分配金を再投資できる仕組みがあります。
一度設定してしまえば、手間をかけずに長期的に資産形成を続けられます。
ETFがおすすめな方
投資経験者
ETFは投資信託に比べて自由度が高く、売買のタイミング、指値注文、信用取引も選べます。
一方で、常に自分で判断が必要なため、ある程度投資に慣れて、資産運用の幅を広げたくなった方におすすめの商品です。
相場動向に合わせてリアルタイムで取引をしたい方
市場の値動きに合わせて売買価格を自分で判断したい方には、ETFがおすすめです。
ETFは市場価格を確認しながらリアルタイムで取引できるため、売買タイミングを柔軟に調整できます。
手数料を抑えて投資をしたい方
コストを抑えて運用したい方にはETFがおすすめです。
ETFは、信託報酬が投資信託と比べて低い傾向があります。
信託報酬は毎日引かれます。わずかな差でも、長期的には大きな差になることもあります。
特に投資金額が大きい場合には、ETFを選ぶことで、効率的な資産形成が期待できます。
分配金を受け取りたい方
生活費の足しや、お小遣いとして、定期的な現金収入にしたい方には、ETFがおすすめです。
両方がおすすめな方
守りと攻めの分散投資で、より効率的に資産を増やしたい方には投資信託とETFの両方がおすすめです。
投資信託とETFの両方を保有すると、お互いのメリット・デメリットを補えるからです。
投資信託の自動積み立てで、手間とリスクを抑え(守り)、ETFでコストを抑えながら相場に合わせて売買(攻め)できれば、より効率的に資産形成しやすくなります。
投資信託とETFの違いに関するよくあるご質問

Q.初心者です。投資信託とETFのどちらがおすすめですか?
投資信託をおすすめします。
ETFは投資信託に比べて、自分で判断する項目が多いからです。
また、ETFに自動積み立ての仕組みはなく、売買タイミングの決定も、分配金を再投資するのも自力で行う必要があります。
まずは投資信託から始めてみましょう。
Q.新NISAでは投資信託とETFのどちらがおすすめですか?
つみたて投資枠で、投資信託をコツコツ自動積立するのがおすすめです。商品数も多く、分配金も自動で再投資されるため、手間をかけずに運用を続けられます。
ETFは、成長投資枠のみで購入できます。ETFは価格を見ながら自分のタイミングで売買ができます。
自分の投資スタイルに合わせて、上手に使い分けましょう。
Q.リスクが低い方を選びたいです。投資信託とETFでは、どちらがおすすめですか?
投資信託がおすすめです。
投資信託とETFで、商品の中身が同じならば、リスクはほぼ同じですが、実際の運用では投資信託の方がリスクを抑えやすい傾向があります。
ETFは、売買のタイミングを自分で決める必要があり、判断によっては思うような成果が出せない場合もあり、リスクが高いです。
また、リアルタイムで何度でも売買できる手軽さにより、必要以上に取引してしまい、手数料がかさんでしまうこともあります。
まずは投資信託の自動積立から始めるのがおすすめです。
Q.効率的に資産を増やしたいのですが、日中は仕事で忙しく投資に充てる時間がとれません。投資信託とETFどちらがおすすめですか?
投資信託がおすすめです。
投資信託は、市場が閉まった後に、1日1回だけ価格が決まります。そのため、自宅に帰ってからでも売買ができるので、日中に値動きを確認する必要がありません。
一方、ETFは、日中の値動きを確認しながら取引する必要があります。時間的・心理的な負担から、判断ミスが起きる可能性もあります。
Q.投資信託を保有中で、ETFも始めたいのですが、失敗が怖いです。やめた方がいいですか?
投資信託で投資に慣れているのでしたら、少額からETFを始めてみましょう。
ETFはリアルタイムで取引ができるため、株価の値動きやニュースに自然と目が向くようになり、金融リテラシーがさらに上がります。
ETFのリスクを取りつつも、知識と経験を重ねると、自分に合った資産の分散・運用方法がわかり、家計全体のバランスも整いやすくなります。
まずは無理のない範囲で、少額からETFにチャレンジしてみましょう。
まとめ

本記事では、投資信託とETF(上場投資信託)の違いや、どちらがおすすめかについて解説しました。
投資信託・ETFのいろいろな特徴を見てきましたが、大きな違いは、
・どこで売買するのか?
・いつ売買するのか?
の2点です。
投資信託は初心者向けで、よりお任せ度が高く、ETFの方は、投資経験者向けで、より自由度が高いと言えます。
・手間をかけずにほったらかし投資が向いている方には、投資信託
・自由度を持って、積極的に資産を運用・管理したい方には、ETF
がおすすめです。
さらに効率的に資産形成したい方は、投資信託・ETF両方を運用するのも良いかもしれません。
投資信託・ETF、どちらも長期運用により、メリットが最大化する商品です。ご自身に合った商品や投資方法で、ストレスのない資産形成をめざしましょう。